新潟薬科大学

応用生命科学部 研究室紹介

応用微生物・遺伝子工学研究室

微生物で願いを叶えるラボ

微生物として、我々人間にとって有益な産物を生み出す「発酵微生物」、我々の身体を攻撃する「病原微生物」がよく知られているが、本研究室では前者の「発酵微生物」を取り扱っている。我々の生活を見回してみると、たくさんの発酵製品に気がつく。冷蔵庫の中を眺めてみると、ヨーグルト、チーズ、味噌、納豆、漬物、ビールなどの発酵食品がすぐに目にはいってくる。調味料置き場のしょうゆ、お酢、だしも発酵の力で製造されている。さらに、流し、洗面所などの方を向いても洗剤という微生物発酵製品が目につく。また、「病原微生物」を攻撃するのも「発酵微生物」が産出する抗生物質なのである。まだまだ、数え切れないくらいの発酵製品が我々の生活と結びついており、今後もこの人間と微生物の関係は途絶えることはないだろう。本研究室では、我々人間の願い(需要)に応じて、この「発酵微生物」の持つ潜在能力を引き出し、新しい能力の付与を行い、人間がコントロールできる微生物の開発を行っています。そのための技術として、バイオテクノロジーと情報科学のデジタル技術を融合した【スマートセル技術】を開発・活用しています。


研究概要

酵母による油脂の発酵生産

近年、新興国の成長とともにエネルギー、食糧などのあらゆる資源の需要増加に拍車が掛かってきている。このような需要増は、資源争奪戦、価格の乱高下を引き起こし、さらに地球温暖化問題への影響も多大である。このような状況は、我々の生活に深い関係がある油脂についても当てはまり、需要、価格で大きな変動が起こっている。三大栄養素の一つに数え上げられる油脂は、食用用途が多くを占めるが、年間1千億円以上の輸出総額を誇る工業用(界面活性剤、香粧品、高級アルコールの原料等)、さらには燃料用(バイオディーゼル)にも利用され、非常に需要が高い物質である(図1)。しかしながら、日本の油脂自給率はわずか13%であり、今後、食用、工業用、燃料用の油脂原料の競合やアジアの巨大市場との油脂資源の争奪が予想され、日本の安定的な油脂原料の確保は急務である。日本の油脂原料確保法の一つとして、植物油の増産があげられるが、日本の農業人口の減少、海外油脂との価格競争、栽培面積の限界、天候に依存するなど、さらなる植物油の生産増大は困難である。そのため、日本の高い技術力を活かした独自の油脂生産システムが必要となる。日本は、古くから微生物の能力を利用した味噌、醤油、酒などの産業が発展してきており、そのノウハウにより、医薬品、食品、化学メーカーの企業化の発端となってきた。本研究では、油脂生産酵母を最大限利活用することで、日本独自の油脂生産システムの基盤を構築し、自給率向上へ繋げることを目的としている。また、バイオテクノロジー技術だけでなく、情報科学のデジタル技術を融合した【スマートセル技術】を活用し、油脂酵母の油脂生産の潜在能力を引き出し、さらに新しい能力を付与し、健康的な付加価値の高い油脂生産に繋げていく研究を行っている(図2)。

図1 油脂の用途

図2 日本の現在の油脂情勢と今後の展望

以上は本研究室で実施している研究の一部であり、詳細は研究室ホームページを参照してください。

教員紹介

髙久 洋暁(タカク ヒロアキ)
教授
学位:博士(農学)
山崎 晴丈(ヤマザキ ハルタケ)
助教
学位:博士(農学)

先生からのメッセージ

地球上に存在する全微生物の99%以上が未培養微生物です。培養ができないとその微生物の能力も明らかにできません。まだまだ、未知のユニークな微生物(宝)が眠っているのです。バイオテクノロジーと情報科学等のデジタル技術を融合させたスマセル技術が、微生物の潜在能力の覚醒や未培養微生物由来の新しい能力の付与を可能にしてくれると考えています。次世代技術(スマセル技術)を駆使して、人間社会の願いを叶える仕事を一緒に手がけましょう。


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