アロマハンドクリーム開発プロジェクト
アロマや化粧品を授業で学び資格取得
新潟薬科大学薬学部には、「アロマセラピー」や「化粧品」を実践的に学ぶ授業があり、プライマリーケア(予防医学)や、医療現場での活用について、多くの学生が習得しています。
これらの知識や技術は、医療や福祉現場においても導入されていて、この授業を受けた学生は、卒業後も活用しながら、高いスキルを持って、活躍しています。
在学生も、先輩の活躍の様子を参考にしながら、将来のスキルアップ、自分自身の可能性の拡大、自己実現や社会貢献など様々な目標をもって、これらの学習を修得しています。
また、この講義を受けた学生達は、アロマコーディネーター協会公認ライセンスである「アロマコーディネーター」資格試験の受験ができる仕組みがあります。
「合格のための補習授業」なども充実しており、本学のアロマコーディネーターライセンスの資格試験合格率は、近年100%を維持しています。
この試験に合格した学生は、全国で唯一本学の学生のみがアロマコーディネーター協会より公認されている称号、「アロマサポーター」として、学生のうちから地域の方々へのアロマの普及、啓蒙活動はもちろんのこと、人々の健康増進貢献活動も行っています。

香粧品サークルの立ち上げ
アロマセラピーや化粧品に興味をもち、学習を深めた学生たちは、「もっと学習を深めたい!関連する研究をやってみたい!もっと人々の生活に役立つ製品を企画したい!作ったりしてみたい!」という想いを授業担当教員に働きかけ、教員と学生の想いが合致して、香粧品サークルや研究チームが立ちあがりました。
日々のサークル活動が実を結び、学園祭でのアロマ・コスメ講座の開講、出展や地域の方々の健康増進に貢献するイベントの企画やそこでのアロマに関する学習成果発表、アロマ石けん、アロマキャンドル、サシェ、入浴剤、ハーバリウムを作る実験講座を開講するなど、活発に活動を行っています。
現在新しい企画として、「人々の健康増進や暮らしに役立つ香りのブレンドについての研究」というテーマで、研究をスタートさせており、その研究成果をもとにした化粧品作成を始めています。

機能性ハンドクリーム制作のきっかけ
「人々の健康増進や暮らしに役立つ香りのブレンドについての研究」というテーマにおいて、具体的にどのような「香りづくり」が良いのかというところで時間を要していましたが、卒業生が行ってきた卒業研究にあった「集中力を高める、学習や作業の効率の高める香りづくり」という研究テーマを後輩が大切に活用していこうと意見にメンバーが共鳴し、先輩の先行研究に基づく香りづくりをスタートさせました。
学生の多くは、アロマコーディネーターライセンスを持ち、香りのブレンディングについての学習成果を活かしながら、香りの適切な組み合わせ、配合率について検討しました。
リフレッシュ効果が高いとされるペパーミント等をベースに、記憶・集中力を高める働きをもつ精油、不安、緊張を和らげる効果があるとされる精油を適切な配合率でブレンドして生成しました。
機能性効果の有無を調べるために内田クレペリン検査を用いて、計算能力試験を行いました。
結果、香りを使用していない時に比べ、多くの作業(計算)を持続的且つ正確に行うことができることを見つけました(グラフ1、2)。

グラフ1は、今回のブレンド精油の有無で作業(計算)量がどのくらいUPしたかを示しています。
香りを用いると作業が約5%UPしていることがわかります。
グラフ2は、香りの使用により、作業時間全体を通じた前半から後半にかけて、誤答率が約4分の1になったことがわかります。
この香りを用いることで、長い時間作業(計算)が続いても、正確に作業(計算)を続けることができていることがわかりました。
PAPパサパ㈱様との連携によるアロマハンドクリーム作成
「オリジナルブレンド」の作成までこぎつけると、学生は、何とか商品にしていくことができないかという課題、悩みを持ちました。
そこで担当教員が特許をもち、美白剤の開発において、以前より商品開発、共同開発を行っていたエステティックサロンの運営及び化粧品開発メーカー「PAPパサパ株式会社」に協力を求めたところ、今回の学生の熱心な活動を聞き、学生の開発した「香り」を配合したアロマハンドクリームの作成に協力してくれることになりました。
PAPパサパ㈱様の応援により、作成した香りを製品として形にできるという、ブレイクスルーとなりました。学生たちは、市場ニーズの調査活動からターゲット層を吟味し、商品コンセプト立案、デザイン企画、クリームレシピと原料選定、香りのブレンドなど、プロの視点も学びながら商品化の全プロセスに深く関わりました。
そして、「アロマを通してたくさんの人に喜びや輝きを感じてもらいたい」という学生たちの想いがアロマハンドクリームとなり、アロマハンドクリームシリーズ「porté de bouquet(ポルテデブーケ)」より『Cletude.(クレチュード)』という商品名でハンドクリームが誕生しました。
「Cletude.(クレチュード)」とは、学びを香りで応援したいという薬学生の想いをフランス語を用いた造語を使って名付けられています。
クリーム成分、材料にもこだわり、ペンやパソコンを使用しながらでもさらさらとした質感を維持できるハンドクリームに工夫しています。
アロマを身近に感じてもらい、多くの人にとってアロマセラピーに触れる入口(きっかけ)となるようなアイテムとして提供していきたいというのが、学生の希望でもあります。今回の企業とのつながり、社会とのつながりが、学生に貴重な経験をもたらしただけなく、新しいモノづくりへのチャレンジ精神も掻き立てたと思われます。

図5 開発したアロマハンドクリーム
商品完成と達成感-プロジェクト参加学生の声-
開発チーム参加メンバーの声
★大学生のうちにしかできない新しいことに挑戦してみたいと思いで、今回の研究活動に参加しました。
3年生になってからは授業や座学中心の生活が続き、学びの充実と同時に日々に変化が少なくなっていました。
そのため、気持ちをリフレッシュしながら、自分の興味や可能性を広げられるような実践的な活動を探していた時、アロマハンドクリームを開発するという新たな試みに誘っていただき、ものづくりを通してチームで一つの形を作り上げる経験に魅力を感じ、参加を決めました。
★アロマコーディネーターを取得したあと、資格を活かして何ができるのかと思っていたところ、飯村先生と同学年の熱心な学生(友人)がアロマで何か活動したいと考えているという話を聞き、自分もアロマセラピーについて学んだことを生かしたいと思い、商品開発などは初めてだったが興味を持ったので参加させてもらった。
★商品開発を行うのは初めての経験で、最初は何から取り組めばよいのか分からず、戸惑うことも多くありました。
研究チームは人数が多く、意見をまとめたり調整したりするのに苦労しました。
メンバーの予定が合わず、なかなか集まる機会が少ないときもあり、限られた時間の中で工夫しながら取り組みました。
試行錯誤の末に形となった商品を新薬祭などで多くの方に手に取っていただき、アロマを通して笑顔になってくださる様子を見たとき、ここまで頑張ってきて本当によかったと感じました。
★集中力が高まり、学習や作業効率の向上が期待できるアロマハンドクリームを使って薬剤師国家試験に向けた勉強をしていましたが、成績アップを実感することができました。とても良いハンドクリームの開発ができたと思っています。
★高校生のころから夢に描いていたハンドクリームの開発が実際に「商品化」という形になったことに私自身が一番驚いています。当時は一人で思い描くだけの夢でしたが、大学でサークルを立ち上げ仲間と共に取り組んだアロマコンテストで表彰までしていただけるとは当時は想像もしていませんでした。
自分の想いを形にすることは決して簡単ではありませんでしたが、諦めずに努力したことが結果に繋がって大きな自信となっています。こうした貴重な経験をさせていただける環境に改めて心から感謝しています。
チームでの活動経験を生かして今後どのようにしたいか
★今回の商品開発を通して、チームで意見を出し合いながら一つのものを形にする難しさと、協力して目標を達成することの大切さを学びました。薬剤師として働く上でも、患者さんや他職種のスタッフと連携しながら治療方針を考える場面が多くあります。今回の経験で培った協調性や調整力、相手の意見を尊重しながら自分の考えを伝える力は、チーム医療の現場で必ず役立つと信じています。また、アロマハンドクリームを通して「香り」や「癒し」が人の気持ちを前向きにする力を実感しました。今後は、薬の効果だけでなく、患者さんの心のケアや生活の質(QOL)にも寄り添える薬剤師を目指したいと考えています。
今後の展望
★ハンドクリームもたくさんの方に手に取っていただき、アロマを通して地域の方と関わる機会を頂けてとても嬉しかったです。今後もアロマセラピーが地域の方と新潟薬科大学をつなぐきっかけとなればと思います。今年も新潟薬科大学では多数のアロマコーディネーターが誕生していると思いますので、後輩にもアロマの活動を楽しんでもらえるよう大学内で縦の交流や引き継ぎができたらと思っています。そして、道のりは長いかもしれませんが、ハンドクリームに続くアロマで人々の生活を良くするアイテムをまた作りたいです。
今後の展開・計画
現在はさらに新しい香りづくりをスタートしています。
そしてその香りを配合した『Cletude.(クレチュード)』に続く新アロマハンドクリームの作成を進めています。
さらに働く人々の日々の疲れや癒しに役立てていただく、製品の企画も練っています。
心地のよい香りは、人々にとって「おもてなし」とされ、より一層特別で上質な空間演出を感じてもらうことができるといわれています。
香り(アロマ)による癒し・安らぎの空間を提供することによって、精神衛生面の改善、ストレスの軽減に貢献したいという想いで、「空間演出」に関する取り組みを進めています。
そして、さらに活動メンバーを増員するPR活動、活動紹介の機会も増やしいけるよう努めています。

