未来の医療を明るく照らす”個別化医療”の可能性
みなさんこんにちは。
新潟薬科大学の中川です。
今回は新潟薬科大学医療技術学部臨床検査学科の最大の特徴である「個別化医療(1人1人に合った治療を行うこと)」について紹介したいと思います。
個別化医療って何?
みなさん、具合が悪くなると病院に行きますよね?
医師は、患者さんからいろいろな症状を聞いて、予想される病気について検査を行い、インフルエンザやアレルギー性鼻炎などの病気を判断(診断)し治療していきます。
例えば、アレルギー性鼻炎に対する薬をとってもいろいろなもの(抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエータ遊離薬)があります。さらに、その中でも何種類もお薬があります。
みなさんも経験があるかもしれませんが、薬の効きがいい人、悪い人、眠くなる人、なりにくいなど薬の効果や効き方は実際には様々であったりもしますよね。
もちろん、自分に合った薬が一番効果があり、早く元気になれます。
そうです、1人1人に合った医療を行うことが個別化医療なのです。
洋服なども1人1人の体系に合わせて作ることができますが、医療も同じように1人1人に合わせた治療ができるようになってきています。
最初に“未来型医療“と表現しましたが、実はこの「個別化医療は」はまだ見ぬ未来のものではなくすでに始まっている医療です!
東北地方の大学病院では、個別化医療センターが設置されるなど、各地で専門的に個別化医療が進められています。
個別化医療の具体例ー「がん」の個別化医療ー
「がん」の個別化医療について1つご紹介します。
これまでに行われてきたがん治療は、がんが見つかると手術や抗がん剤を投与してきました。抗がん剤は、がん細胞か正常細胞かうまく見分けることができない種類もあるため、正常細胞が壊されてしまい強い副作用がでることが多くありました。
このような副作用を軽減しより効果的な治療を行うために個別化医療が活用されています。
現在行われている「がん」に対する個別化医療としては、臨床検査技師が「がん」の一部を採取し、遺伝子検査などを行います。
※写真はイメージです※
遺伝子検査を通じて「がん」細胞の中にHER2という遺伝子あるいはタンパク質が過剰ににたくさんあるかを調べます。
このHER2が過剰にたくさんがあれば、HER2に特異的に作用する薬(ハーセプチン)を投与します。
正常細胞にもごくわずかではありますが、HER2はあります。
しかしこれらのがんは、HER2が過剰にたくさん増えるため、このHER2に対して効く薬を使うことで、HER2がたくさんある「がん」にだけ効果を発揮するため、これまで以上に効率的に治療をすることができるようになります(日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)136,210~214(2010))。
このように薬の投与と検査がセットになって行われることからコンパニオン診断とも言われています。
「病気を発見するプロ」である「臨床検査技師」は、病気を発見するだけでなく、「治療」や「予防」にも貢献できるスペシャリスト医療職なのです。
いろいろな医療人がそれぞれの専門性を生かして力を合わせて病気を治していく、”チーム医療”の1つともいえるとも言えますね!
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。