YAKUDAI WALK 薬大再発見コラム

災害派遣医療チーム『DMAT』の活躍

医療技術学部
2024/01/10

2024年元旦に起こった「令和6年能登半島地震」の被災地では、現在多くの人たちが救助を待っています。
そんな中、全国各地より「DMAT」と呼ばれる災害派遣医療チームが続々と現地入りをし、被災地での医療支援を展開しています。
そこで、今回は「DMAT」について紹介したいと思います。。

DMATについて

DMATとは、【Disaster(災害)Medical (医療)Assistance (派遣)Team(チーム)】の頭文字を取ったものですが、災害の急性期(発災後概ね48時間以内)に災害現場等に迅速に駆けつけ、救命処置等の活動を行うための専門的な訓練を受けた災害派遣医療チームのことです。

※写真はイメージです

1995年(平成7年)の「阪神・淡路大震災」での教訓を生かし、消防や警察、自衛隊などと連携しながら、救助活動と並行して災害現場で医療を行うために作られました。
「阪神・淡路大震災」では、通常の救急医療レベルの医療が提供されていれば救命できたと考えられる「避けられた災害死」が500名存在した可能性があったと報告されています。

DMATが正式に発足したのは、平成17年4月です。
メンバーは、医師・看護師・その他の医療職・事務職員の4名で構成されています。
「その他の医療職」としては薬剤師が比較的多いようです。
DMATには厚生労働省に登録され、日本全国で活動する『日本DMATと、主に各都道府県で活動する『ローカルDMATがあります。

DMAT隊員になるためには~様々な医療派遣チーム~

日本DMATの隊員になるには、災害に関する知識や現場で実践できるスキルを持つために研修を受ける必要があります。
災害拠点病院、日本赤十字社、国立病院機構、大学附属病院や大きい病院にはDMATが組織されています。新潟県では、14の病院が災害拠点病院となっています。
また、近年、超急性期に派遣される救命救急が中心のDMATの他以下のような医療チームがあります。

❏メンタルケアを行う
DPAT』

❏生活習慣病などの慢性疾患に対応するJMAT』

❏集団避難生活での衛生環境悪化に伴う感染症に対応するDICT』

様々な医療チームが組織されており、多くの医療従事者が災害に派遣され活躍しています。

DMATの隊員になるには、まず、災害医療、救急等に強い病院(災害拠点病院、DMAT指定医療機関)に就職することが必要です(災害医療、救急等に強い病院はDMATチームを持っていたり、DMAT養成研修の受講資格を得たりすることができるため)。
医療機関に就職してもすぐDMATの隊員になれるわけではなく、まずは、医療従事者として、1人前になり、そしてDMATの研修を受けてDMATの隊員証を得ることが必要です。
実際の災害時には、それぞれの専門性を生かして、迅速に救助に当たることが求められます。

医療人として災害に立ち向かう

私は平成16年、最大震度 7 を記録した新潟県中越地震で被災地の1つ小千谷市に災害派遣医療チームの一員として参加しました。
当時、私は、総合病院で薬剤師として勤務しており、まだDMATが正式に組織されれる前でしたが、被災地に、医師・看護師・事務職員とともに薬剤師として参加しました。

必要となるであろう薬剤を予測し詰め込み、簡易血糖測定器の準備なども行い4名で向かいました。
現地にたどり着くまでにも、道路の地割れが激しく、たいへん時間がかかりました。
災害本部に到着後、「山間部の避難所へ」、との指示がありました。到着後も余震が断続的に発生して危険ではありましたが、医師・看護師の傍らで処方薬を調剤し服薬指導をしました。

一通り落ち着いた後は、避難所ではなく、なんとか崩れずに残った家で過ごされている方たちの診療に向かいました。
なかには病院へ搬送要請した患者さんもいましたし、今まで気丈に振舞っていたお嫁さんが、私たちの顔を見て張りつめていた気持ちが緩んだのか、涙を流されたり、心のケアを含めて医療従事者が被災地で活動することの必要性を感じました。

最後に、災害により被災された皆様にはお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興を心より祈念いたします。

この記事を書いた人

継田 雅美

新潟薬科大学 医療技術学部