YAKUDAI WALK 薬大再発見コラム

大麻を使用しない方が良いこれだけの理由

薬学部
2023/07/20

みなさんこんにちは。新潟薬科大学薬学部の城田です。

今回は大麻についてのお話をさせていただきたいと思います。
警察庁が発表した資料(※1)によると、大麻事犯検挙人員は、前年に続いて過去最多を更新し深刻な状況が続いています。
出典 ※1:「令和3年における組織犯罪の情勢」(警察庁組織犯罪対策部、令和4年3月発行)

一方、海外では、大麻が合法の国があるから安全とする情報や、ネット上などでは依存症はないとする誤った情報も散見されます。
では、実際に大麻を使用しても本当に問題はないのでしょうか?
少なくとも、私は、将来、たとえ日本が大麻所持・使用を合法化しても大麻を使用しない方が良いと断言できます。
今回は、「大麻を使用しない方が良い理由」を抜粋してお話しします。

理由1:大麻依存に陥る

大麻には、テトラヒドロカンナビノール(THC)という、脳などの身体に影響する成分が含まれており、幻覚作用等がもたらされ、依存性があります。

これは嘘ではなく、学術的な見解に基づいた事実です。

大麻には依存性がないとする一部のネット上の情報の方が明らかに誤っています。
例えば、2016年の世界保健機関(WHO)薬物依存専門委員会の大麻に関する会議において、大麻に含まれる成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)は薬物依存の精神依存評価法を用いた研究においてTHCに依存性があると示した論文が取り上げられていますし、大麻でも身体依存に陥ることが複数の論文で示されています。

理由2:情緒が不安定になる

大麻を使用すると、イライラしたり不安になるなど情緒が不安定になり、うつ病や統合失調症を発症しやすくなります。
また、オックスフォード大の研究において、思春期の大麻使用は、うつ病や自殺願望のリスクを高めると報告されています。
したがって、例えばストレス解消の為に大麻を使用するというのは、全くの逆効果です。

理由3:やる気がなくなる+考えられなくなる+IQ(知能指数)が低下する

まず、大麻を使用し続けると、無動機症候群といって、何もやる気が出ない状態になります。
また、記憶力やあらゆる情報に対する脳内での処理速度が低下します。したがって、IQが低下しますし、物事を考えられなくなります。集中力も低下します。

さらに、大麻使用は、特に成長期にある若年層の脳に対しての影響が強いことが報告されています。
この見出しでは、あえて3点セットで記載しましたが、大麻使用には、この3セットが揃っていますので、当然、学校の成績が落ちますし、学校生活の満足度も低下する為、若年層の皆さんにおいては、特に大麻使用をやめておいた方がよい理由の一つです。

なお、大麻使用により集中力が増すというのも誤った情報です。これも全くの逆です。

理由4:お酒やタバコよりもリスクが高い

お酒、タバコ、大麻は、それぞれにおいて健康面でのリスクがあり、単純には比較できませんが、上述のように、少なくとも、大麻には、脳機能に関する障害や精神疾患発症のリスクが増大するなどの、お酒やタバコにはない種類の健康被害が報告されています。

理由5:購入資金が最終的に反社会的勢力の資金源となることが多い=治安の悪化が懸念される

これは大麻に限った話ではなく、違法薬物全体に言える話ですが、警察庁が発表した資料(※1)によると、違法薬物の供給には、反社会的勢力の関与がうかがわれると報告されています。

よって、購入資金は、反社会的勢力の資金源となることが多く、これは最終的には治安が悪化することにも繋がります。

すなわち、薬物の購入は自分が良ければそれで良いと思うかも知れませんが、知らず知らずのうちに反社会的勢力を支援してしまっているのです。

理由6:大麻使用を安全だと認めた国はない

近年、大麻を合法とした国もあらわれていますが、大麻を安全だと認めた国はありません。今も昔も世界的に大麻の有害性は問題視されています。

つまり、大麻を合法化した国は、安全だから合法化したわけではありません。
海外では、薬物を取り巻く環境が日本とは異なり、合法化の背景には、多くの場合、マフィアの資金源の断絶、国内情勢や政治的思惑など別の事情があります。

大麻乱用のリスクは、まだまだあります。
大麻乱用のリスクは、数え切れず、この記事では全てを書ききれませんが、いずれにしても、冒頭で述べたように、この記事を読んでいただいている読者の皆様に、将来、たとえ日本が大麻所持・使用を合法化しても大麻を使用しない方良いと分かっていただければ幸いです。

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この記事を書いた人

城田 起郎

新潟薬科大学 薬学部