新潟薬科大学

薬学部 研究室紹介

生化学研究室

抗ウイルス自然免疫とウイルスによる免疫回避に関わる研究

生化学研究室はF棟5階の一番奥、つまり一番遠いところに位置しています。多くの学生さんたちは遠いので“来るのがめんどくさい”などと言いますが、高層階なので一番景色がよく、空気が澄んだ日には佐渡島が見えます。こんな景色がいい研究室に小室、宮本二人の教員と毎年4年生から6年生の総勢約30人の配属学生がおります(多くの5年生は薬局/病院で実習)。
さて2019年度後半から2020年度にかけて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的な問題になっています。現在アメリカギリアド社のレムデシビルが承認され、我が国富士フィルム社のアビガンが承認申請に進み、期待できる医薬品はあるものの既存薬の代用でありCOVID-19の特効薬が存在しないのが現状です。ワクチン開発も前例のない速さで開発は進んでいますが、未知のことばかりでいまだに予断を許さない状況です。
本研究室ではコロナウイルスを含むRNAウイルスに対する自然免疫のメカニズムとそれを回避するウイルスの戦略について研究しています。新型コロナウイルスの研究もCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV2自身を使わずに始めており、抗ウイルス免疫の詳細なメカニズムとウイルスの免疫回避メカニズムの解明が治療や新薬とワクチン開発のきっかけになるような成果を目指しています。


研究概要

我々の研究室はウイルスが細胞内に侵入してきた時にその存在を検知するタンパク質、RIG-I様受容体に関する研究をおこなっています。RIG-I様受容体にはRIG-I、MDA5、LGP2の3種類が存在し(図中①)、いずれもウイルス由来RNAを異物として検出します。図に示されている通り、検出するウイルスの担当が分かれています。これらRIG-I様受容体がウイルス由来RNAを検知すると細胞内シグナル伝達により1型インターフェロンが産生され、システムとして抗ウイルス状態を構築します。
明らかにしたいことの一つはRIG-I様受容体のMDA5とLGP2がコロナウイルスをはじめとする一本鎖プラス鎖RNAウイルス由来RNAをどのようにして異物として認識しているのかの詳細なメカニズムです。それに関連して我々は一本鎖プラス鎖RNAウイルスの一つであるカルジオウイルスの認識において、RNA干渉に関わる因子が関わっていることを見出しました(図中②)。下等動物では抗ウイルス作用の道具としてRNA干渉を用いますが、ヒトを含む哺乳動物ではRNA干渉主導ではなく上述のタンパク質であるインターフェロンによる抗ウイルス作用が主なものです。しかしながらウイルスRNA認識-インターフェロンシステムはRNA干渉と進化的にも密接な関係があり、我々はこれらの2つのシステムの相互作用にも興味を持ち研究を進めています。
さてそれに対し、ウイルスはどう対抗するのでしょうか?ウイルスは宿主の免疫システムを回避したり混乱を引き起こしたりします。現在流行しているSARS-CoV2も免疫回避を行うことが報告されています。一方新型コロナウイルス感染症の大きな問題点として免疫を暴走させることによる重症化も知られています。我々の3つ目の興味はSARS-CoV2を含む一本鎖プラス鎖RNAウイルス因子による免疫回避機構と免疫暴走のメカニズム解明です(図中③)。
以上の研究内容が抗ウイルス薬、ワクチン開発の礎になる未来を目指して日々頑張っています。

教員紹介

小室 晃彦(コムロ アキヒコ)
教授
学位:博士(薬学)
宮本 昌彦(ミヤモト マサヒコ)
准教授
学位:博士(薬学)

先生からのメッセージ

近年の薬剤師国家試験における生物実験系の出題傾向として、当研究室が用いる実験技術関連のものが多くなっています。そのためだけに頑張ってほしいというわけではありませんが、勉強も研究も好奇心をもって取り組んでほしいです。そういう好奇心が社会人になっても独創的なアイデアを生み出し、世の中に貢献できるベースにつながっていくと思います。

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