研究室紹介
衛生化学研究室
化学療法剤の開発を目指す

癌を中心とした生活習慣病の詳細な発症メカニズム解明を目指し、薬学知識を基盤に、発病に根本的に寄与する遺伝子や物質を追求しています。
研究概要
低栄養下における代謝変化と適応機序の解析
1.がん微小環境下におけるがんの代謝
がん組織では血流不足により低酸素・低栄養の部位が生じる。そのようながん微小環境下、低酸素・低栄養部位のがん組織は、既存のがん化学療法における薬剤耐性や放射線治療における放射線耐性が生じることから、新規のがん治療法の開発が望まれる。そして、がん微小環境下のがん細胞は、一般的ながんで生じるといわれる解糖系の亢進でない機序でエネルギーを得て生存している。そこで、新たな抗がん剤のターゲットとして、がん微小環境特異的なエネルギー代謝系であるNADH-フマル酸還元系について研究を行っている(実験医学, 35, 1625-1632, 2017)
2.低栄養、特にタンパク質摂取欠乏下における代謝変化とその適応 (東大・医 梅崎教授らとの共同研究)
世界では、三大栄養素のひとつであるタンパク質の摂取が著しく不足している地域が多く存在している。その中で、タンパク質摂取量が著しく不足しているにも関わらず、健康状態を維持できる人々の低タンパク質適応能、代謝変化をモデルマウスや培養細胞を用いて解析し、低タンパク症の予防・治療法の開発を目指している(Metabolomics, 13, 105, 2017)。
教員紹介
酒巻 利行
教授
学位:博士(薬学)
冨塚 江利子
准教授
学位:博士(薬学)、博士(保健学)
衛生分野担当科目:栄養の摂取と代謝(2年次)、化学物質と毒性(代謝・がん・毒性・中毒処置)(3年次)、医療現場で役立つ衛生薬学(5年次)