研究室紹介

天然物薬理学研究室

天然より得られる疾病予防成分の生体内機能発現機構を解明する

糖尿病や高血圧症をはじめとする生活習慣病の罹患率増加は、我が国の大きな社会問題となっており、臨床検査の現場でも接することが多い疾患です。生活習慣病は難治性や複合性といった特性を有しており、その治療では患者さんの「生活の質」の低下が避けられないため、予防が重要な戦略となります。漢方の構成生薬や、一部の植物由来食品には、種々の生活習慣病に対する予防が期待される化学成分が豊富に含まれることがこれまでの多くの研究でも明らかにされています。しかし、天然成分を経口摂取した場合、そのほとんどは代謝物に変化してしまうため、生体内における天然成分の活性発現には産生した代謝物の関与が強く示唆されますが、この点については未だ十分に検討されていません。
当研究室では、天然素材に含まれるポリフェノールをはじめとする化学成分に着目し、これらの成分が生体内でどの様に疾病予防効果を発揮するのか、その作用メカニズムを明らかにする研究を行っています。

研究概要

1.疾病予防効果が期待される天然物のスクリーニング
培養細胞や実験動物を用いた評価系において抗酸化活性などを指標とし、疾病予防効果が期待される新規植物素材と、これに含まれる活性成分のスクリーニングを行います。

2.活性成分の体内動態の解明
植物素材より単離した疾病予防効果が期待される活性成分を実験動物に経口投与し、その消化管吸収量や組織分布量、主要代謝物の特定など、体内での振る舞いを明らかにします。また、活性成分の長期的な投与による組織への分布形態や蓄積量の評価を行います。

3.活性成分より産生する代謝物による疾病予防メカニズムの評価
活性成分の経口投与後、生体内で産生する主要な代謝物を単離し、培養細胞を用いて同代謝物の疾病予防メカニズムを明らかにします。

教員紹介

一栁 孝司(イチヤナギ タカシ)
教授
学位:博士(医工学)