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当研究室の小室 晃彦 教授（責任著者）、宮本 昌彦 准教授（筆頭著者）らの研究グループは、金沢医科大学、新潟大学、宮城県立がんセンターとの共同研究を通じて、タイロウイルスの成熟に関わる3CプロテアーゼがMDA5の切断をすることを発⾒しました。MDA5はコロナウイルスなどウイルスRNAを異物として検知するウイルスセンサータンパク質としての働きがあります。この抗ウイルス免疫に重要なタンパク質の分解はウイルスによる免疫回避戦略のひとつと考えられ、この発見は抗ウイルス薬などの新薬開発につながることが期待されます。

本研究論文が掲載された「The Journal of Immunology」は、免疫学、ウイルス研究および実験的化学療法の研究成果を長年にわたり掲載するアメリカ免疫学会の権威ある専門誌です。

説明：タイロウイルスの3CプロテアーゼによるMDA5の切断
① ピコルナウイルス科のタイロウイルスはコロナウイルス同様に前駆体ウイルスタンパク質がプロテアーゼにより切断され、その過程がウイルスの成熟に寄与する。
② タイロウイルスRNAはウイルスセンサーであるMDA5に異物として検知され、抗ウイルス作用に重要なインターフェロン（IFN）の産生を引き起こす。
③ ウイルス自身の成熟に関わる3C-プロテアーゼがウイルスセンサーであるMDA5も切断する。この切断はウイルス検知と抗ウイルス作用の機能不全を引き起こす。この作用はウイルスによる免疫回避機構の一つと考えられる。

＜論文タイトル＞
Theilovirus 3C Protease Cleaves the C-Terminal Domain of the Innate Immune RNA Sensor, Melanoma Differentiation?Associated Gene 5, and Impairs Double-Stranded RNA?Mediated IFN Response.

Miyamoto M, Himeda T, Ishihara K, Okuwa T, Kobayashi D, Nameta M, Karasawa Y, Chunhaphinyokul B, Yoshida Y, Tanaka N, Higuchi M, Komuro A.
J Immunol (2023) 210 (3): 335?347.

掲載ページはこちら（下記URLにて遷移します）
https://journals.aai.org/jimmunol/article-abstract/210/3/335/237592/Theilovirus-3C-Protease-Cleaves-the-C-Terminal?redirectedFrom=fulltext