新潟薬科大学

大学院 薬学研究科 先輩インタビュー

薬剤師資格をもつ薬学博士をめざす
― 先輩からのヒント ―

薬学部6年制の博士課程としてスタートした新潟薬科大学大学院薬学研究科は、今年度で10年目を迎え、これまで22名が在籍し11名が薬学博士を取得してます。博士課程で研究する学生は、薬学部卒業生、留学生、現役の薬剤師、他研究科の修士課程修了生など多岐に渡っています。

ケース1 現在博士課程に在学中の中澤太陽さん

薬剤師資格を取得した後に、博士課程に入学することの意義はどこにあるのでしょうか? 現在博士課程3年の中澤太陽(2019年3月新潟薬科大学薬学部卒業、現在大学院薬学研究科博士課程在学中、薬剤師)さんに伺いました。


どのような研究をしていますか?

薬品製造学研究室に所属し、高温環境に曝されたインスリンアナログの立体構造変化を解き明かす研究を行っています。インスリン製剤などのペプチド製剤とよばれるものは、保管温度に注意が必要な製剤ですが、薬剤交付後は患者さん自身が管理する必要があるため、適切な保管温度で保管できていない可能性があります。しかしながら、高温環境に曝されたインスリンアナログの立体構造変化を解析した報告はほとんどありません。そのため博士課程では、その問題を解決するために日々研究に励んでいます。

博士としての将来像を教えてください

研究を通して、将来、様々な場面で遭遇するであろう問題に対して、解決につながる筋道を論理的に思考し、実際に役立たせることができる専門家として活躍したいと思っています。私と出会った多くの人がその後の人生でプラスになるような影響を与えられる人になりたいです。

生活面などのアドバイスをお願いします

学費や生活費については、学内の奨学金やアルバイトで賄うことができます。例えば、給付型奨学金である新潟薬科大学大学院薬学研究科夢きぼう奨学金、新潟薬科大学大学院奨学金を受給している他に調剤薬局でアルバイトを月2回行っています。調剤薬局でのアルバイトについては、実際に現場でどのような問題があるかを知る機会にもなり、大変有意義です。

様々局面を解決できる論理的思考能力を研究を通じて身につける、ということが中澤さんの博士課程に進学した意義とのことでした。また、同時に薬剤師としての経験も継続的に続けられているとのことでした。

ケース2 病院薬剤部に勤務しながら、学位を取得した竹野孝慶さん

社会人入学者も近年増加しています。薬剤師として病院に勤務しながら博士課程を修了した竹野孝慶さん(2013年3月新潟薬科大学薬学部卒業、2019年3月新潟薬科大学大学院薬学研究科博士課程修了、社会福祉法人新潟市社会事業協会信楽園病院薬剤部勤務)に伺いました。


現在の業務内容を簡単に教えて下さい。

病院薬剤師の業務全般を行なっていますが、その中でも特に病棟業務に力を入れています。当院では各病棟に病棟専任薬剤師を配置しており、私は消化器や糖尿病、外科の患者さんの薬剤指導や薬剤管理を担当しています。


大学院博士課程でどのような研究していましたか?

乳がんに関する研究を行なっていました。乳がんの転移やそれに関係するタンパク質や遺伝子の解析、新規ターゲットの探索を行いました。

病院薬剤師として勤務しながら、博士課程に入学されました。大学で研究を続けようと考えた理由を教えてください。

理由はいくつかありますが、主な理由は「がん」という病気に非常に興味をもったことです。「がん」は現在でも毎年新薬が開発されていますが、新しい機序やターゲットの理解は大学院での研究が大きく役立っており、研究をする支えになりました。

がんで亡くなる人は今や、3.7人に1人の割合まで増加していて、治療日々進歩していますね。研究のしがいがある分野ですよね。
仕事のない時間帯、例えば、勤務後や休日に研究をされたと思います。その苦労や工夫などを教えてください。

私自身の苦労はそれほどでもありませんが、どうしても研究の待ち時間がある場合や研究の前に準備が必要な場合など、私一人ではどうしようもなかった際に担当の先生や先輩の力を貸していただけたことは非常に助かりました。勤務後や休日の研究も苦ではなかったのですが、いざ一人で行うとその手技や手順が正しいのか不安になることが多く、先生に確認しておけばよかったなと思うことがありました。

これから社会人として学位を目指す方に、仕事と研究を両立するためのアドバイスなどありましたらお願いします。

体力があるうちに思い切って学位の取得を目指すことも良いと思います。特に基礎研究を行う場合は、1つの実験でも長時間にわたることもありますし、同一実験を繰り返すことも多いので、体力が必要だと感じました。また、仕事と研究の両立については、研究を開始する前に指導教官と具体的にどのように研究を進めていくのか、具体的には、仕事が終わってからでも間に合うのか、1回の研究で拘束される時間はどのくらいなのかなど、よく話し合うとよいと思います。

仕事をしながら大学で研究を続けられたのは、竹野さんの頑張りが第一にあると思いますが、それに加えて、指導教官との打ち合わせや研究室員との連携も、研究を計画的に進めるうえで大切なのですね。
薬剤師として働く際、どのような場合に学位が必要となるでしょうか?学部学生にアドバイスをお願いします。

私自身学位を取得してまだ実感はそれほどありませんが、例えば学位取得の際に執筆した論文が薬剤師としての各種専門資格を取得する際に使用することができる場合があります。大学等で教育研究に携わる際にも必要になります。また病院でも教育機関でも、研究指導をする立場になるときに、学位を取得するプロセスで培った研究立案と遂行能力が、不可欠となります。

専門薬剤師の資格取得の際にも博士課程で修得できる高い研究能力が必要になってくるわけですね。将来,そういう希望がある方は、竹野さんのおっしゃるように、研究する体力や環境があるうちにチャレンジすると、将来の選択肢が広がり、代わりの利かない薬剤師になれるかもしれないですね。

お二人とも、貴重なお話をありがとうございました(インタビュアー:大学院薬学研究科 准教授 川原浩一、教授 星名賢之助)。

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