Fieldwork フィールドワーク

弥彦観光業の変遷について
～通過型から滞在型観光地に向けて～

新潟県の西蒲原郡に位置する弥彦村は、歴史ある彌彦神社を始め、弥彦温泉、弥彦山など多くの観光
資源に恵まれている。かつては、越後一宮である彌彦神社への「信仰目的」の観光が目立ったが、その後、自動車の普及とともに、「観光目的」の観光客も増加していった。
その結果、彌彦神社だけに立ち寄り、寺泊や燕三条と併せて観光するような観光パターンが増え、弥彦の
滞在時間はわずかなものになっていった。
しかし、2018 年、弥彦グランドホテル跡地に「おもてなし広場」がオープンしたことが一つの大きな
転機となり、彌彦神社周辺は周遊性のあるエリアへと変貌していく。弥彦観光協会事務局長・三富克是
氏が、「感覚的に、観光客の男女比は、女性：男性＝３：１で若い女性が増えてきており、平日の昼間に
は特に女性客が多い」と語るように、弥彦観光の客層や行動形式がかつてとは大きく変わっている。
本稿では、文献調査と弥彦観光協会や弥彦村役場などへのインタビューをもとに、弥彦村の観光業が
どのように活性化していったのかを明らかにするとともに、課題と今後の展望について考察する。