研究室紹介

病態生理学研究室

Real worldの医療に貢献する課題の解決をめざしたい

所属学生
大学院薬学研究科1年1名、6年7名、5年12名、4年10名


研究概要

慢性リンパ性白血病(CLL)の診断と治療に関する研究

青木のライフワークというべき研究です。CLLは欧米に比べて日本では極めてまれな疾患で、日本における診断の妥当性の検討や標準的治療の開発は不十分です。欧米及び国内の専門家との共同研究で日本におけるCLLの診療レベルの向上を目指しています。CLL細胞の標本作成法の違いによる形態を示します(図1A,B)

リンパ系腫瘍の微小残像病変(MRD)と骨髄における微小浸潤の検出法の開発

内山と大学院生が中心になって進めています。リンパ系腫瘍の治療薬として分子標的薬が用いられるようになり、治癒を目指した治療が導入されました。治療効果の判定としてMRDの検出はきわめて重要な課題であり、治療法の決定には骨髄への腫瘍細胞の浸潤の有無が重要です。当研究室では、通常の手段では検出困難なMRDを、高感度フローサイトメトリー(FCM)を用いて測定する方法を開発するとともに、検出に有用な抗体パネルの作成を試みています。FCMによるMRDの検出例を示します(図2)。
そのほか、厚生労働省指定難病班研究としてTAFRO症候群の臨床疫学的研究、岡山大学との共同研究で関節リウマチ患者のMTXの効果と免疫学的指標に関する研究も行っています。

教員紹介

森山 雅人(モリヤマ マサト)
教授
学位:博士(医学)

先生からのメッセージ

薬学を含めて医療系の学問・教育は、実際の医療現場のニーズにこたえられているのかと常に問いかけながら仕事をしています。社会は、薬剤師に薬学・薬のプロであることをこれまで期待してきました。しかし医学医療の進歩は、さらに踏み込んで、患者さんの治療に、時に治療の立案そのものや患者さんの症状・所見の把握についても、薬剤師が関わることを求めています。教科書や講義、学生時代の実習で学んだ知識が基礎になることはまちがいありませんが、医療は実学ですので、理論や机上の空論ではなく、実際に経験することが重要で、そこで得られた知識が財産になります。教育や研究を通じて、Real Worldの医療を伝えることを目標にしています。