研究室紹介

食品化学研究室

加工・調理がもたらす品質の違いを化学のメスで見極める

私たちが日々摂取する食事の多くは、加熱を伴う加工・調理工程を経て製造されています。その際、成分間でさまざまな化学反応が起こり、嗜好性や安全性、機能性に変化をもたらすことが経験的にわかっていますが、その詳細については不明な点も多く、品質の違いを明確に説明することができていません。本研究室では色・香り・美味しさなど食品の品質に多大な影響を及ぼすメイラード反応に着目し、各種機器分析による網羅解析技術を駆使して、品質に関わる分子メカニズムを解明し、効率的に制御・利用するための技術開発に取り組んでいます。

研究概要

メイラード産物の形成因子の解明と品質制御・向上への活用

食品の加工・調理中の成分間反応によって生じるα-ジカルボニル化合物(α-DCs)は反応性が非常に高く、食品の色や香り、風味に関わる嗜好性物質や抗酸化物質、アクリルアミドなどの変異原性物質などの前駆体となることから、α-DCsを適切に制御することで食品の品質を保持・向上させることが可能になると考えられます。モデル系や実際の食品を用いて解析を行い、α-DCsの動態にかかわる制御因子や品質に関わるα-DCsを明らかにするとともに、食品成分の添加や加工法の工夫による制御についても検証しています。

教員紹介

能見 祐理(ノウミ ユリ)
准教授
学位:博士(学術)

先生からのメッセージ

食品素材はさまざまな化合物から構成されており、素材の組み合わせや加工・調理の工夫次第で、美味しく健康な食品を創成することができます。食品素材が個々にもつ個性を分子レベルで見極め、その個性(化学)をどう生かしたら美味しく機能性が高い食品を創れるのか、一緒に考えてみませんか。食べ物に興味がある方、料理が好きな方、化学が得意な方はぜひ!